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ちょうどTVドラマが放映中なので読んでみた。1972年の沖縄返還の際の米国との密約の情報を、主人公の新聞記者が外務省の女性事務官から得て政治家に流したことにより公となり問題となった外務省機密漏洩事件。
実話ベースの小説だが、ほぼ実話どおりのようだ。
この裁判の起訴状に「密かに情を通じて機密情報を入手し」と記載されたことから、国民の知る権利vs国家権力という'知る権利'論争が男女関係のスキャンダルにすり替えられる・・・
国民の知る権利vs国家権力、取材方法、外務省の秘密主義気質、陰謀、スキャンダル等盛りだくさんで、最高裁への上告棄却まで盛り上がる。
しかし、判決確定後、沖縄に移り住んだ主人公の目を通して沖縄の問題を描いた第4巻がこの小説で最も言いたかった部分だろう。沖縄占領から返還、在日米軍の犯罪と治外法権のような条項・・・折しも普天間基地移設問題の最中、いろいろ考えさせられる。
でもTVドラマでは盛り上がる最高裁への上告棄却のところまでで、4巻部分はあっさりとしてしまうんだろうな・・・
題名が題名だがちゃんとした?小説。歌手として成功を収めた橘百合子が37年前の運命の日を振り返る。もしもあのときもう一つの選択をしていたら・・・
その日、みつ子(橘百合子の本名)は映画を見に行くか、ヌードモデルの職の紹介所に行くかを迷ってた。
目の前あった柱時計の米粒のような彫刻の数を数え、奇数だったら映画を見に行き、偶数だったらモデルの紹介所にいこうと、行動の決定を彫刻の数に託す。
彫刻の数を数えたら奇数だったので映画を見に行ったがその帰りにアクシデントに会い、その結果、歌手にスカウトされ現在に至る。
しかし、実は、彫刻の数を数え間違えており、本当は偶数だったたことが今になってわかる。
あの日、彫刻の数を、もう一度数え直していたら・・・と、もう一つの過去のストーリが始まる。
同じ著者の「マイナス・ゼロ」を読んだ後だったので、パラレルワールドのSFかと思いきやそうではない。
彫刻の数を数えたら偶数だったという「もう一つの過去」のストーリで、本当の過去では歌手にったためすぐに音信不通となってしまった片桐と再会し、恋愛、結婚生活を、昭和初期の描写を交えて進んでいく。
この昭和初期の事件や出来事、自動車、テレビジョン技術、風俗、生活環境の細かな描写がすごく、昭和初期を克明に記録しているような感じも受ける。
ただ、最後のオチが いまいちわからず、というかオチがなく、若干尻切れトンボの感じがした。
大口の取引先からの受注が中止となった上、大手企業からの主力製品に対する多額の損害賠償を伴う特許権侵害訴訟の提起を受け、倒産寸前のエンジン部品製造の中小企業である佃製作所。そんな佃製作所に、やはり大手企業の帝国重工の宇宙航空開発部長の財前が訪れる。お宅のエンジンバルブの特許権を譲渡して欲しいと。帝国重工は、日本初の国産機ロケットを飛ばすプロジェクトであるスターダスト計画を社運をかけて行っており、財前はその責任者。スターダスト計画で使用するエンジンバルブの特許が既に佃製作所にとらており、佃製作所の特許権を譲渡もしくは使用許諾を受けなければ、スターダスト計画は実現できない。元々宇宙開発研究センターの研究者であった佃製作所の社長、佃航平は、自分の夢を実現させようとする・・・
佃航平が退職を申し出た部下に対して言った、"仕事は2階建ての家みたいなものだ"という一節に共感。
'一階部分は、飯を食うためだ。必要な金を稼ぎ、生活していくために働く。だけど、それだけじゃあ窮屈だ。だから、仕事には夢がなきゃならないと思う。それが二階部分だ。夢だけ追っかけても飯は食っていけないし、飯だけ食えても夢がなきゃつまらない。'(P.337-338より引用)
部下の返事のとおり、ちと'青臭い'セリフなのだが、2階はまだ完成してないよな、と思い出させてくれた意味で感謝!
時に憑かれた作家 広瀬正氏のSF小説。
終戦間際の昭和20年、東京を空襲が襲う。主人公である14歳の浜田俊夫に、隣人の伊沢先生は18年後の同じ日にこの場所に来るようにと言い息絶える。
伊沢の娘の17歳の啓子は見つからず空襲で死亡したとされる。
18年後、俊夫がその場所に行くと、タイムマシンが現れ、中には17歳の啓子が...
俊夫は、啓子とともに生活を始めるが、衝動的にタイムマシンで昭和7年へ行ってしまう。
元の昭和38年に戻ろうとするが、アクシデントで、俊夫を残してタイムマシンだけ消えてしまい、俊夫は昭和7年に取り残される。
俊夫は、タイムマシンを所有している伊沢に出会えれば元の時代に戻れると考えるが・・・
一言で言うと、ミステリーのようなSF小説。
緻密な構成で、いろいろな登場人物や随所にちりばめられた伏線が終盤で見事につながっていき、この点でまさにミステリー。
タイムスリップ、タイムパラドックスをテーマにしている小説、ドラマは現在では多数あるが、この小説が昭和40年に書かれ、この時代にタイムパラドックスをテーマとしていることに驚く。
また、タイムパラドックスについての著者の考えも伺える。
単にSFというだけではなく、俊夫が過ごすことになる昭和初期の風景や人物、当時の技術、銀座の町並み、風俗が詳しく描写されており素晴らしい。
かなりの読み応えあり。
バースディとはこの小説の主人公であるピグミーチンパンジー(ボノボ)。
霊長類研究センターの言語学習研究プロジェクトは、バースデイに言語を教え、バースデイと人間との会話を実現していくというプロジェクト。 バースデイに単語またはその略語を覚えさせ、質問や行動に対し、覚えた単語または略語一語を単位で一つのキーとして配列した特製キーボードをバースデイに押させることで、人間との会話を試みる。
例えば、人間の主人公である真が泣いている姿をバースデイにみせて「まこ(真の略称)、め、みず」と。
真と由紀はその研究員であり、恋人同士でもある。 ある晩、真は由紀にプロポーズするが、その夜由紀は研究室から飛び降り自殺をしてしまう。バースデイの目の前で。
由紀はなぜ自殺を図ったのか?本当に自殺か? 真は、その瞬間を目撃しているはずのバースデイと会話を試み、真相を究明しようとする。
この会話がなかなかうまくいかない。というのは、真は、バースデイに自殺当日の日を振り返った会話を試みるが、バースデイとは現在のことをキーボードで会話できても、限られた単語の中、過去に振り返るということを教えられず、苦労する。
この苦労するシーンは、このようなプロジェクトが小説の中の空想的なものにもかかわらず、妙にリアリティがあり納得してしまう。
読後感は、切なさで満たされる。
終盤で明かされる、言語学習プロジェクトの真実、ちょっと反則では?と思いつつ、由紀の気持ちに・・・
体調不良にもかかわらず真に応えようとするバースデイの行動、態度の健気さ...
そして、バースデイを会話を通しての真と生前の由紀との会話のシーン。由紀が生前に仕込んだプログラムにより会話するという設定だが、いくらなんでも現実離れしずぎて無理がある。と感じるものの、その会話の内容にはかなり読ませられ、由紀の真に対する想いにせつなさを感ぜずにはいれない。
真のバースデイの将来に対する想いにも・・・
この小説は、ミステリーというより、ラブストーリに近い
読んだ本の読後感想や備忘録として
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