エロス(広瀬正)
題名が題名だがちゃんとした?小説。歌手として成功を収めた橘百合子が37年前の運命の日を振り返る。もしもあのときもう一つの選択をしていたら・・・
その日、みつ子(橘百合子の本名)は映画を見に行くか、ヌードモデルの職の紹介所に行くかを迷ってた。
目の前あった柱時計の米粒のような彫刻の数を数え、奇数だったら映画を見に行き、偶数だったらモデルの紹介所にいこうと、行動の決定を彫刻の数に託す。
彫刻の数を数えたら奇数だったので映画を見に行ったがその帰りにアクシデントに会い、その結果、歌手にスカウトされ現在に至る。
しかし、実は、彫刻の数を数え間違えており、本当は偶数だったたことが今になってわかる。
あの日、彫刻の数を、もう一度数え直していたら・・・と、もう一つの過去のストーリが始まる。
同じ著者の「マイナス・ゼロ」を読んだ後だったので、パラレルワールドのSFかと思いきやそうではない。
彫刻の数を数えたら偶数だったという「もう一つの過去」のストーリで、本当の過去では歌手にったためすぐに音信不通となってしまった片桐と再会し、恋愛、結婚生活を、昭和初期の描写を交えて進んでいく。
この昭和初期の事件や出来事、自動車、テレビジョン技術、風俗、生活環境の細かな描写がすごく、昭和初期を克明に記録しているような感じも受ける。
ただ、最後のオチが いまいちわからず、というかオチがなく、若干尻切れトンボの感じがした。

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